私が東京に暮らして30年以上経ちました。随分漫然と過ごしてきてしまったと思います。
皆が浮かれた80年代、その終焉を引きずりながら世紀末を迎えた90年代、戦慄から喪失という不透明な00年代、そして・・・。
今、東京は日本の方向性を決定する、政治的にも経済的にも、重要な局面にあり、その動向は世界からも注視されています。
それでも街には日常があり、人々はそれぞれの物語を纏いながら暮らしています。普段は希薄で潜像的な自分の存在に対する意識も、決して無ではありません。
私はこれまで見過ごしてきた、ささやかだけど、多様な物語を拾い集め、敷き詰めることで立ち上がってくるであろう姿を想い浮かべ、東京へまなざしを向け続けていきます。
2011/8 「東京画 Describing Tokyo Scapes by 100 Photographers」参加に寄せて